Fフードにこだわりを持つ愛犬家は多いですが、水はどうでしょう。シリカ水が流行していたり、人の水に注目が集まっているように、犬にとっても大切な水。神経質になる必要はなくとも、飲水量の目安や水からトラブルになりやすい意外なレジャーやシーズンなど知識を深めてみませんか?
動物看護師の経験も持つ犬オタクライター「Akane」が、夏に限らず意識したい犬に関する水の基礎知識を紹介します。
最も身近な水と犬のおはなし
水の役割
人間と同じように
わんちゃんにとっても
水はとても重要なものです。
身体の約65%が水分で
細胞や体液として
様々な代謝や化学反応を行い、
酸素や二酸化炭素、
栄養素などの運搬をしています。
また体温調節の面でも
大きく関係しており、
人間のように
汗をかけない代わりに
呼吸によって
体温を下げています。
身体を構成する体脂肪や
タンパク質の半分以上を失っても
生きることはできますが、
水分は20%以上失うと
死んでしまいます。
それほど
動物にとって水は重要
なのです。
水ってどれくらい
飲ませればいいの?
一日で必要な水分摂取量は
日本獣医師会の資料によると
“体重の0.75乗×132”
となっています。
だいたい10キロの子で740ml、
500mlのペットボトル1本半
の計算になります。
ドライフードとウェットフードでは
含まれる水分量が違いますので、
食べているごはんによって差が出ますし、
その日の運動量や健康状態、
ライフステージによっても
変わってきます。
おおまかな目安として
1キロあたり40~60ml
とすると
分かりやすいかもしれません。
まずは
新鮮な水を自由に飲める環境が
しっかり整えてあること。
それに加えて
普段あまり水を飲まない子には
ウェットフードや
水分量の多いおやつをあげたり、
ドライフードに水を加えたり
してみるのも効果的です。
日本は水に恵まれた国です。
よほどのことがない限り、
水道水をあげてください。
ミネラルウォーターは
マグネシウムが多く含まれており
身体に良さそうですが、
尿石症を引き起こす場合があります。
定番、夏の脱水。
夏は
気を付けてほしいことが
2つあります。
ひとつめは脱水です。
先述した通り、
ご存知の方が多いとは思いますが
犬は汗をかけない為
呼吸によって体温調節をしています。
また
全身を毛で覆われている
犬種がほとんどですので
いくら
超小型犬のチワワといえど
熱中症に注意しなければ
いけません。
体温調節によって失われた
水分を補給しないと
脱水になり
最悪のケースも起こり得ます。
パンティングという
荒い呼吸は
暑がっている目安となりますが、
暑いときだけでなく、
痛みや緊張している
ときにもします。
普段より呼吸数が増える
ということは
体内の水分量が減る
ことになりますので
注意が必要です。
一緒にお出かけするときは、
体温が上がりすぎないよう
身体を冷やすことと
冷たすぎない水を
常に持ち歩くようにしましょう。
余談になりますが、
熱中症のときに
氷などで
急激に身体を冷やすのは
NGです。
血管が収縮し体温が
下がりにくくなってしまうことと、
温度差によって
ショックを起こしてしまう
ことがあるからです。
体温計で体温をチェックしながら
シャワーなどで
身体を冷やしてあげ、
早急に病院へ
連れていきましょう。
夏の水中毒…?
夏の注意
ふたつめは
水中毒です。
水中毒とは、
大量に水を摂取してしまった
ことによって起こる
”低ナトリウム血症”
のことです。
体内の塩分濃度の
バランスが崩れ、
正常な働きが
出来なくなります。
症状としては、
軽度なものでは
無気力・ふらつき・嘔吐など、
重度のものは
呼吸困難や意識低下を起こし
命に関わります。
普段の生活で起こることは
あまりありませんが、
夏に気をつけたいのは
川やプールなど
水辺でのレジャー。
遊んでいるうちに水を飲み、
水中毒を起こしてしまう
ことがあります。
特に
水をガブガブ
飲んでしまう子は
要注意です。
水遊びの際は
よく様子を観察し
短めに切り上げるのが
予防として有効です。
冬の脱水?!も注意
冬は
気付かない脱水症状
に注意が必要です。
寒い時期は必要な水分量が
暑い時期に比べ減るため、
わんちゃん自身も
あまり水を飲まなくなる
傾向があります。
しかし
排泄や代謝などで使われる
水分量は同じなので、
気付かないうちに
脱水を起こしてしまう
可能性があります。
特に
腎不全や甲状腺疾患など
多く水分を摂る病気の場合は
症状の悪化に
繋がることがあるので
より気にかけてあげる
必要があります。
飲水量でチェック
飲水量が増える病気は
たくさんありますが
代表として
糖尿病や腎不全など
高齢になるにつれて
罹患率が上がる病気が多く、
反対に尿石症では
飲水量が減ることが
多くあります。
飲水量の目安の
おはなしもしましたが、
あくまで一般的なものです。
我が子が
普段どれくらいの
水を飲むか
一番分かっているのは、
私たち飼い主です。
普段
何気なくあげている水ですが、
病気の早期発見に
繋がることもあるのです。
毎日の健康チェックの
ひとつとして
気にしてみてください。